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長い時を超えて語られる愛の物語 「楽園」 著:鈴木 光司 [書籍]

今回紹介する書籍は、「リング」仄暗い水の底からなど、ホラー小説で有名な鈴木光司さんの、作家デビュー作品です。

どうしても鈴木光司さんはホラー小説作家、というイメージが強いのですが、

この作品はファンタジー小説です。

日本ファンタジーノベル大賞で優秀賞をとった作品でもあります。

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僕がこの小説を知ったきっかけは、大学時代、先輩におススメの本がないか聞いたことからでした。

先輩はあまり本を読まないと言っていましたが、この「楽園」は面白かったので記憶に残っていたとのこと。

本を読まない先輩がよく覚えているのだから、それはもう面白いんだろうな~

そんなことを考えながらさらに話を聞くと、あの「リング」で有名な鈴木光司さんの作品だということがわかり、

さらにさらに驚いたことに、鈴木光司さんの出身は自分と同じ静岡県浜松市だというじゃないですか!

こりゃもう読むしかないぞ!とモチベーションMAXですぐに古本屋まで買いに行き、読み始めました。

 

うっすらとあらすじは聞いていたので、世代を超えた愛の物語だよ、といった程度の知識はありました。

でも実際読んでみると想像をはるかに超えて壮大な物語でした。

ここからあらすじです。

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物語は三章に分かれて展開されます。

第一章 「神話」

第二章 「楽園」

第三章 「砂漠」

第一章ではおよそ一万年前、

まだ文明はほとんどなく、精霊信仰が行われ、その中でシャーマンが力を持っていた時代の中央アジアが舞台です。

この時代は戦いと略奪の時代でもあり、負けてしまえば男は皆殺し、女は戦利品という形で、部族は消滅する運命にありました。

その中である部族の夫婦がばらばらに引き裂かれます。

妻はユーラシア大陸北アメリカ大陸の掛け橋であるベーリングを越えて、北アメリカに渡り、夫は南アジアから太平洋へと、南ルートから妻を追いかけます。

 

第二章では時代は進み、大航海時代の話となります。

捕鯨船に乗り込んだあらくれ集団が、大変な出来事に見舞われるところから話が始まります。

壮絶な遭難の末、船員が欠けつつも何とかたどり着いたのは太平洋の南国の島。

生き残った白人の青年と美しい島の娘の恋愛、そしてその時代に実際行われていた白人による侵略といったドラマが、

人間の意志の力、社会というものは何なのか、というテーマと共に展開していきます。

第一章とのつながりが見えるシーンは圧巻で、しばらく鳥肌がおさまらないほどでした。

 

第三章はこれまた時間が飛んで、現代の話となります。

現代音楽作曲家のたくましい男性と、人生に希望が持てなくなった出版社の女性は、言葉では言い表せない運命を感じ取り、魅かれあう。

そんな中、男性が仕事で出向いた砂漠の地下、鍾乳洞で巻き起こる事件がきっかけで二人の人生には大きな決着がつきます。

これまでに歴史の中でひとりひとりが紡いできたものが折れ重なり、

ひとつのゴールに向かっていく。一大スペクタクルです。

 

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何かが一つでもかみ合わなければ、誰かが一回でもあきらめてしまえば、このストーリーは途中で止まってしまいます。

そんな綱渡りのような不安定さの中でも、

この願いは成就するんだろうな。

そう確信させるほど、強く美しい人間の姿、意思の強さが描かれています。

しかも話がとてもリアル!

細かい風景描写や、当時の社会がどういったものか、といったことがとても丁寧に伝わってきます。

鈴木光司さんメチャ頭いいんだろうなー、と感心させられます。

あと「水」がとても恐ろしい!

命をあっさり奪われる恐怖が鈴木光司さんの書く「水」にはあります。怖い!

 

どんな分野でも人を変えてしまうほどの情熱はストーリーによって生み出されます。

僕は今までパワースポットとか、スピリチュアルなものとかを信用しておらず、

物事の原因は必ず科学によって突き止められる!と考えていました。

大学生の僕はそんな狭い了見でしたが、この「楽園」を読んで以来、

人間のどうにもわからないところで動いていくものがあるのかな、

と思えるようになりました。それを運命というんでしょうか。

 

この本に出会えたことは、僕の人生のひとつの大きな喜びです。

こんな素晴らしいストーリーを作り上げてくれた鈴木光司さんに大きな感謝を!

 

 

楽園 (新潮文庫)

楽園 (新潮文庫)